2022年8月27日土曜日

117応天長(周邦彦)

応天長  周邦彦

寒食

1条風布暖、霏霧弄晴、池塘遍満春色。
2正是夜堂無月、沈沈暗寒食。
3梁間燕、前社客、似笑我・閉門愁寂。
4乱花過、隔院芸香、満地狼藉。

5長記那回時、邂逅相逢、郊外駐油壁。
6又見漢宮伝燭、飛煙五侯宅。
7青青草、迷路陌、強載酒・細尋前跡。
8市橋遠・柳下人家、猶自相識。

寒食

1春風が暖かさを広め、靄が晴れを弄び、池の春の色が満ち満ちる。
2いま夜の堂に月は無く、シンシンと寒食でほの暗い。
3梁の燕は、前に来た社日の旅人、私を笑っているようだ、門をとざして寂しそうだね、と。
4花びらが散りゆき、庭の向こうで香っている、地面いっぱいに散らばって。

5ずっと覚えている、あの時、思いがけずあの人と出会って、郊外に車を駐めた。
6また宮殿から火が下賜され、貴族の邸宅に煙が立つさまを見る。
7青青と茂る草のせいで、道に迷ってしまう、むりやり酒を載せてなじみの跡をこまかに探す。
8橋は遠い、柳のもとのあの人の家、まだ私は覚えている。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1条風:春の東北風。「調風」「融風」ともいう。 3前社客:燕をいう。立春と立秋ののち第五の戊日に社神を祭る節日。春社・秋社ともいう。燕は春社の前後に来て、秋社の前後に去る。 4芸香:「芸」は香草、蠹魚(シミ)を避ける。ここは広く花の香りをいう。 5邂逅:予期せず出会う。 油壁:油壁車、車壁に油や漆を塗って飾る。多く女性の乗る車。古楽府「蘇小小」に「妾乘油壁車、郎騎青驄馬。何処結同心、西陵松柏下(妾は乗る 油壁の車、郞は騎る 青驄の馬。何処にか同心を結ばん、西陵の松柏の下)」とある。 6「又見」二句:唐の韓翃「寒食」詩に「日暮漢宮伝蠟燭、軽煙散入五侯家(日暮 漢宮より蠟燭を伝え、軽煙散じて五侯の家に入る)」とある。当時、寒食節に宮中では蠟燭の火を近臣に下賜した。

 

寒食

 

条風(はるかぜ)が暖かさを(ひろ)め、霏霧(もや)が晴れを弄び、池塘(いけ)に春色が遍満(みちみち)る。

正是(いまし)も夜の堂に月は無く、沈沈(しんしん)と寒食で(ほのぐら)い。

梁間(はり)の燕は、(さき)の社日の客、(わたし)を笑う(よう)、門を閉して愁寂(さび)しそうに、と。

(はなびら)乱過(ちりゆ)き、(にわ)(むこ)うで芸香(かお)る、満地(じめんいっぱい)狼藉(ちらか)って。

 

(ずっ)(おぼ)えている、()回時(とき)邂逅(おもいがけ)相逢(であ)い、郊外に油壁(くるま)()めた。

()た見る、漢宮(きゅうでん)から()が伝えられ、五侯(きぞく)(やしき)に煙が()つのを。

7青青した草で、路陌(みち)に迷い、(むりやり)に酒を載せて前跡(なじみのあと)(こま)かに(さが)す。

市橋(はし)は遠い、柳の(もと)人家(いえ)()だ自ら相識(おぼえ)ている。


yìng tiān cháng

hán shí

1 tiáo fēng bù nuǎn,fēi wù nòng qíng,chí táng biàn mǎn chūn sè.
2 zhèng shì yè táng wú yuè,chén chén àn hán shí.
3 liáng jiān yàn,qián shè kè,sì xiào wǒ、bì mén chóu jì.
4 luàn huā guò,gé yuàn yún xiāng,mǎn dì láng jí.

5 cháng jì nà huí shí,xiè hòu xiāng féng,jiāo wài zhù yóu bì.
6 yòu jiàn hàn gōng chuán zhú,fēi yān wǔ hóu zhái.
7 qīng qīng cǎo,mí lù mò,qiáng zǎi jiǔ、xì xún qián jì.
8 shì qiáo yuǎn、liǔ xià rén jiā,yóu zì xiāng shí.

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