2022年8月26日金曜日

108蝶恋花(周邦彦)

蝶恋花  周邦彦

早行

1月皎驚烏棲不定、更漏将闌、轣轆牽金井。
2喚起両眸清炯炯、涙花落枕紅綿泠。

3執手霜風吹鬢影。
4去意徊徨、別語愁難聴。
5楼上闌干横斗柄、露寒人遠雞相応。

朝の旅立ち

1月は白く、ねぐらの烏を起こして、落ち着かせない。夜は更けようとして、ギシギシと誰かが井戸で轆轤を牽いている。
2私もその音で目を覚まされ、両まなこはギラギラ、涙が枕に落ちて芯の綿まで冷たくなった。

3手をとる、冷たい風が髪に吹きつける。
4旅立つ気持ちが揺らぐ、別れの言葉は聴くに堪えない。
5たかどのの上に星がきらめいて、北斗七星が横たわり、露は冷たく、人は遠ざかり、ニワトリが鳴きあっている。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1轣轆:井戸で水をくみ上げる滑車を「轤轆」や「轆轤」という。「轣轆」はその音で、これも「轤轆」と解される。 金井:「金」は飾った言い方。 2紅綿:枕の芯に使う木綿。花が赤い。 3霜風吹鬢影:李賀「詠懐」詩に「弾琴看文君、春風吹鬢影(琴を弾じて文君を看る、春風 鬢影を吹く)」とあり、王琦の注に「見室家相得好(夫婦仲睦まじいさま)」という。 5闌干:縦横に入り乱れるさま。 斗柄:北斗七星。古代の酒を酌む「斗」に似ていて、柄杓(ひしゃく)があるので、「斗柄」「斗杓」という。

 

(あさ)(たびだち)

1月は(しろ)く烏を(おこ)して棲不定(おちつかせな)い、更漏(よる)()よう()として、轣轆(ギシギシ)金井(いど)()んでいる。

喚起(めざめ)両眸(まなこ)清炯炯(こうこう)涙花(なみだ)が枕に落ちて紅綿(しん)まで冷たい。

 

3手を()る、霜風(つめたいかぜ)鬢影(かみ)に吹く。

()(きもち)徊徨(ゆら)ぐ、別れの(ことば)は愁いで聴き難い。

楼上(たかどの)闌干(ほしきらめ)いて斗柄(ほくとしちせい)が横わり、露は(つめ)たく人は遠く雞が相応(なきあ)っている。


dié liàn huā

zǎo xíng

1 yuè jiǎo jīng wū qī bú dìng,gèng lòu jiāng lán,lì lù qiān jīn jǐng.
2 huàn qǐ liǎng móu qīng jiǒng jiǒng,lèi huā luò zhěn hóng mián lěng.

3 zhí shǒu shuāng fēng chuī bìn yǐng.
4 qù yì huái huáng,bié yǔ chóu nán tīng.
5 lóu shàng lán gān héng dǒu bǐng,lù hán rén yuǎn jī xiāng yìng.

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