2022年8月24日水曜日

099蘭陵王(周邦彦)

蘭陵王  周邦彦


1柳陰直、煙裏糸糸弄碧。
2隋堤上・曾見幾番、払水飄綿送行色。
3登臨望故国、誰識・京華倦客。
4長亭路・年去歳来、応折柔条過千尺。

5閑尋旧蹤跡。
6又酒趁哀弦、灯照離席。
7梨花楡火催寒食。
8愁一箭風快、半篙波暖、回頭迢遞便数駅。
9望人在天北。

10淒惻、恨堆積。
11漸別浦縈回、津堠岑寂、斜陽冉冉春無極。
12念月榭携手、露橋聞笛、沈思前事、似夢裏、涙暗滴。



1柳の陰がまっすぐに伸びて、もやの中でひとすじひとすじ、緑の枝が揺れている。
2隋堤の岸でかつて幾たび見たのだろう、水を払い、わたを漂わせて、見送りの風景を。
3高いところに登って故郷を望む、誰が知ろう、この都の疲れきった旅人を。
4駅の路で、くる年もくる年も行ったり来たり、柔らかい枝を折ること、きっと千尺を越えたに違いない。

5ぶらぶらとなじみの跡を尋ねてみる。
6また酒は哀しい調べを追い、ともしびが別れの席を照らしている。
7梨の花、楡の火、寒食を促して。
8愁う、矢のように風は速く、なかば棹さして波は暖かく、振り返ればはるかにたちまち数駅を過ぎていた。
9あの人は天の北にいるのかと、望んだものだった。

10ものすさまじく、恨みがつのる。
11少しずつ別れの浦を廻り、渡し場の砦がひっそりしてきて、夕陽がゆるゆる傾き、春は果てしない。
12懐かしむ、月かげの台(うてな)で手を取り合い、露に濡れる橋で笛を聞いた、あの出来事を思い出すと、夢の中のようで、涙がそっとこぼれる。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
3故国:故郷。 7楡火催寒食:楡の火を準備して、寒食を待つ。清明の前、一日か二日を寒食といい、三日間火を禁じる風習があった。唐宋の時代には、清明の日に朝廷から楡や柳から火をとって近臣に下賜し、陽気に順った。 11津堠:渡し場にある砦、遠くを見ることができた。

 

1柳の陰が(まっす)ぐ、煙裏(もやのなか)でひと(すじ)ひと(すじ)(みどり)()れている。

2隋堤の(きし)(かつ)幾番(いくたび)見ただろう、水を払い綿(わた)を飄わせ送行(みおくり)(けしき)を。

3登臨(のぼ)って故国(ふるさと)を望む、誰が()ろう、この京華(みやこ)倦客(たびびと)を。

4長亭(えき)の路で、くる年もくる歳も()ったり来たり、(きっ)と柔らかい(えだ)を折ること千尺を過ぎたろう。

 

5(ぶらぶら)旧蹤(なじみ)の跡を尋ねる。

6()た酒は哀しい(しらべ)()い、(ともしび)(わか)れの席を照らしている。

7梨の花、楡の火、寒食を(うなが)して。

8愁う、一箭()のように風は(はや)く、半ば(さおさ)してかく回頭(ふりかえ)れば迢遞(はるか)便(たちま)ち数駅。

9人は天の北に()るのかと望む。

 

10淒惻(ものすさまじ)く、恨みが堆積(つも)る。

11(しだい)に別れの浦を縈回(めぐ)(わたしば)(とりで)岑寂(ひっそり)斜陽(ゆうひ)冉冉(ゆるゆる)と春は無極(はてしな)い。

12(おも)う、月の(うてな)で手を()り、露の橋で笛を聞いた、あの前事(できごと)沈思(おもいだ)すと、夢裏(ゆめ)(よう)で、涙が(そっ)(したた)る。


lán líng wáng

liǔ

1 liǔ yīn zhí,yān lǐ mì mì nòng bì.
2 suí tí shàng、céng jiàn jǐ fān,fú shuǐ piāo mián song xíng sè.
3 dēng lín wàng gù guó,shuí shí、jīng huá juàn kè.
4 cháng tíng lù、nián qù suì lái,yìng zhé róu tiáo guò qiān chǐ.

5 xián xún jiù zōng jì.
6 yòu jiǔ chèn āi xián,dēng zhào lí xí.
7 lí huā yú huǒ cuī hán shí.
8 chóu yí jiàn fēng kuài,bàn gāo bō nuǎn,huí tóu tiáo dì biàn shù yì.
9 wàng rén zài tiān běi.

10 qī cè,hèn duī jī.
11 jiàn bié pǔ yíng huí,jīn hòu cén jì,xié yáng rǎn rǎn chūn wú jí.
12 niàn yuè xiè xié shǒu,lù qiáo wén dí,chén sī qián shì,sì mèng lǐ,lèi àn dī.

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