2022年8月24日水曜日

098風流子(周邦彦)

風流子  周邦彦

1新緑小池塘、風簾動・砕影舞斜陽。
2羨金屋去来、旧時巣燕、土花繚繞、前度莓牆。
3繡閣裏・鳳幃深幾許、聴得理糸簧。
4欲説又休、慮乖芳信、未歌先噎、愁転清商。

5遙知新妝了、開朱戸・応自待月西廂。
6最苦夢魂、今宵不到伊行。
7問甚時却与、佳音密耗、寄将秦鏡、偸換韓香。
8天便教人、霎時廝見何妨。 

1新緑の小さな池、風に簾が動き、砕けた影が斜陽に舞う。
2羨ましい、たかどのを行き来する、なじみの巣のある燕、苔がめぐる、かつて訪ねた苔むす垣根。
3部屋の中は、とばりがどのくらい奥までめぐらされているのか、楽器を調絃する音が聞こえる。
4なにか言おうとして、またやめる。手紙が来ないことを思うと、歌わないうちから喉をつまらせる。愁いは悲しいメロディに運ばれる。

5遠くにいても分かる、新たに化粧を終えて、戸を開け、月が西の部屋の上にのぼるのをきっと待っているだろう。
6とてもつらい、夢の中でさえ、今宵、あの人のところへ行けない。
7聞きたい、いつになったら知らせや便りが来て、誓いの秦鏡を送り、韓香にこっそり換えられるのだろう。
8天よ、すぐに私に、しばしでも会わせてくれても、よろしいでしょうに。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2金屋:『漢武故事』に、劉徹(武帝)が幼い頃、おば(父の姉妹)の長公主が娘を指して「阿嬌は好きかい?」と聞くと、笑いながら「好きだよ。もし阿嬌が嫁いだら、金屋に貯えておくよ」と答えた故事。のちに「金屋蔵嬌」の言葉が生まれた。阿嬌は陳皇后。 土花:青い苔。李賀「金銅仙人辞漢歌」に「三十六宮土花碧」とある。 3糸簧:広く管弦楽器をいう。「簧」は楽器の中にある薄片、振動して音源となる。リード。 4慮乖芳信:彼女の消息がないので悩む。 愁転清商:「愁近清商」とするテキストもある。 5待月西廂:元稹「鶯鶯伝」で、鶯鶯が張生にあげた詩に「待月西廂下、迎風戸半開(月を待つ西廂の下、風を迎えて戸半ば開きぬ)」とある。 6伊行:彼女のところ。 7秦鏡:漢の秦嘉の妻徐淑が明鏡を夫に贈り、秦嘉が詩を作って感謝した故事。 韓香:晋の賈充の娘賈午が韓寿を好きになり、父の目を盗んで珍しい香を贈った故事。賈充は韓寿の身体から香の匂いがするのに気づき、賈午が贈ったと察して二人を結婚させた。『晋書』「賈充伝」に見える。 8廝見:互いに見つめ合う。

1新緑の小さな池塘(いけ)、風に簾が動き、砕けた影が斜陽に舞う。

2羨ましい、金屋(たかどの)()き来する、旧時(なじみ)巣燕(つばめ)土花(こけ)繚繞(めぐ)る、前度(かつて)莓牆(かきね)

3繡閣(へや)(なか)鳳幃(とばり)幾許(どれほど)の深さ、糸簧(がっき)(とと)えるのが聴得(きこえ)る。

4欲説(いおう)として()()める、芳信(てがみ)(こな)いことを(おも)い、未歌(うたわな)いうちに()(つまら)せる、愁いは清商(エレジー)(はこ)ばれる。

 

5(とお)くでも(わか)る、新たに(けしょう)(おえ)て、朱戸()を開け、(きっ)と月を西廂(へや)で待っている。

6最も(つら)い、夢魂(ゆめのなか)でさえ、今宵(あのひと)(ところ)不到(いけな)い。

7()きたい、甚時(いつ)佳音(しらせ)密耗(たより)却与(よせ)て、秦鏡を寄将(おく)り、韓香に(こっそ)り換えるのか。

8天よ、便(すぐ)(わたし)に、霎時(しばし)廝見()せて()くれても何妨(よろしい)でしょうに。


fēng liú zǐ

1 xīn lǜ xiǎo chí táng,fēng lián dòng、suì yǐng wǔ xié yáng.
2 xiàn jīn wū qù lái,jiù shí cháo yàn,tǔ huā liáo rào,qián dù méi qiáng.
3 xiù gé lǐ、fèng wéi shēn jǐ xǔ,tīng dé lǐ mì huáng.
4 yù shuō yòu xiū,lǜ guāi fāng xìn,wèi gē xiān yē,chóu zhuǎn qīng shāng.

5 yáo zhī xīn zhuāng liǎo,kāi zhū hù、yìng zì dài yuè xī xiāng.
6 zuì kǔ mèng hún,jīn xiāo bú dào yī xíng.
7 wèn shèn shí què yǔ,jiā yīn mì hào,jì jiāng qín jìng,tōu huàn hán xiāng.
8 tiān biàn jiāo rén,shà shí sī jiàn hé fáng.

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