其七
1中郎逝千霜、
2曲高復誰為。
3龐翁趣無絃、
4鄭伯功斲鼻。
5春風桃花溪、
6寒淥繞蒼翠。
7何当従両君、
8放浪計幽事。
杜甫の「長歌 意は極まり無し、好し老夫が為に聴け」を以て韻と為し、沔鄂の親戚友人に別れ奉る。
其七
1中郎(蔡邕)が逝って千霜、
2高しい曲は復び誰の為にあるのだろう。
3龐翁には無絃(琴)の趣があり、
4鄭伯には鼻さきのつちくれを斲る功がある。
5春風のふく桃の花さく溪、
6寒淥は蒼翠を繞る。
7何当また両君に従って、
8放浪に幽事を計ねることができるだろう。
1中郎:「中郎」は、後漢の蔡邕のこと。琴を善くした。桐の木を燃やして飯を炊いている人がいて、蔡邕はその燃える音を聞いて良い材質だと分かり、琴を作ってもらった。その琴は尾が少し焦げていたので、「焦尾琴」と呼ばれた。また、酒食に招かれて隣人を訪ねたところ、屏の中から聞こえてきた琴の音に殺気を感じて、門から入らずに引き返した。驚いた主人が調べると、琴を弾いていた者が「鳴いている蝉を蟷螂が狙っているのが目に入り、弾きながら蟷螂が蝉を獲り逃がすのではないかと心がざわついた、それが音に表れたのでしょうか」と答えた。それを聞いて、蔡邕はにっこり笑ったという。ともに『後漢書』「蔡邕伝」に見える故事。 3龐翁:龐姓で年上の友人であろうが、未詳。 趣無絃:無絃琴を楽しむ。音律を解さなかったが、無絃の琴を持っていて、酒を飲んでは撫でていたという陶淵明の故事。 4鄭伯:鄭姓の友人であろうが、未詳。 功斲鼻:技芸が卓越していること。『荘子』に見える故事で、むかし郢人が、その鼻の上に白い壁土を蝿の羽のように薄く塗り、大工の棟梁に削り取らせた。棟梁はまさかりを振るうと、すばやい勢いで無造作にそれを削り取り、壁土はきれいに取れて、鼻を傷つけることがなかった、という。 5「春風」二句:かつて交遊した際の風景。 8放浪:気ままで束縛を受けないこと。 幽事:俗世を離れた楽しみ、雅事。
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