2022年9月27日火曜日

197一萼紅(姜夔)

一萼紅  姜夔

丙午人日、余客長沙別駕之観政堂。堂下曲沼、沼西負古垣、有盧橘幽篁、一径深曲。穿径而南、官梅数十株、如椒如菽、或紅破白露、枝影扶疏。着屐蒼苔細石間、野興横生、亟命駕登定王台、乱湘流入麓山。湘雲低昂、湘波容与、興尽悲来、酔吟成調。

1古城陰、有官梅幾許、紅萼未宜簪。
2池面冰膠、牆腰雪老、雲意還又沈沈。
3翠藤共・閑穿径竹、漸笑語、驚起臥沙禽。
4野老林泉、故王台榭、呼喚登臨。

5南去北来何事、蕩湘雲楚水、目極傷心。
6朱戸黏鶏、金盤簇燕、空嘆時序侵尋。
7記曾共・西楼雅集、想垂柳・還裊万糸金。
8待得帰鞍到時、只怕春深。

丙午の人日、私は長沙の別駕の観政堂に客となった。堂の下に曲折した沼があり、沼の西は古びたまがきを背にして、盧橘(みかん)や幽篁(たけ)が小径の深く曲がりながら続くところにあった。小径を通り抜けて南へ行くと、官府の梅が数十株、「如椒」「如菽」、あるいは「紅破白露」といった品種が、枝影もまばらに植えられていた。くつで苔や小石の間を踏んでいくと、野趣がふつふつと生じ、すぐに車を命じて定王台に登り、湘水の流れを渡って麓山に入った。湘水の雲が低く高く、湘水の波はたゆたい、興が尽きて悲しみがやって来たので、酔いのままに吟じてこの曲調ができた。

1古い街のもと、官梅はどれほどあるのか、赤いつぼみはまだかんざしにするにはふさわしくない。
2池の水面には氷がはり、かきねには雪が残り、雲のようすもやはりどんよりしている。
3みどりの藤、同じくみどりの竹の小径を、しずかに通り抜けると、笑いながら語る声にようやく気づいて、岸で休んでいた鳥が目を覚ました。
4村人の暮らす林や泉は、むかしの定王の築いた建物、友人と呼びあいながら登って、湘江を眺めた。

5北へ南へと去来するのは何故、蕩々と流れる楚国湘江の雲と水、目を遠く見やれば悲しくなる。
6戸に貼られた年始の鶏の画、皿に盛られた立春の燕の群れの料理を見ると、空しく時が失われるのが、嘆かれる。
7思い出す、かつて共に西楼の風雅な集いをした。垂柳がやはり金色の枝を千も万も揺らしていたことが懐かしい。
8馬を帰してあなたのもとに着く時を待っていてほしい。ただおそらく春は終わろうとしているだろう。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0丙午:淳熙十三年(1186)。 人日:正月初七。 長沙別駕:湖南潭洲の通判蕭徳藻を指す。「別駕」は宋代の通判の別称。 定王台:漢の長沙王劉発が多く母を思って築いた。長沙の東にある。 乱:横に流れる。 麓山:別名、岳麓山。長沙の西南にあり、湘江から六里離れている。衡山のふもとにあるので岳麓という。 6黏鶏・簇燕:人日と立春の風俗。『荊楚歳時記』に「人日には画鶏を戸に貼り、葦索を其の上に懸け、符を旁に挿す、百鬼 之を畏る」とある。『武林旧事』に「春前一日、後苑に春盤を辦造(つく)り、翠縷紅糸、金鶏玉燕、備極(きわめ)て工巧(たくみ)なり」とある。いまの鳥や花の形に盛り付けたオードブルのようなもの。

丙午の人日、(わたし)は長沙の別()観政堂に客となった。

堂の下は曲沼(ぬま)で、沼の西は古い(かきね)()にし、盧橘(みかん)幽篁(たけ)が有り、一径(みち)(おく)まで曲がっていく。

(みち)穿(とお)って(そのま)ま南へいくと、官梅が数十株、「如椒」や「如菽」、或いは「紅破白露」が、枝影も扶疏(まばら)にあった。

(くつ)蒼苔(こけ)細石(こいし)の間を()むと、野興が横生(あふれ)れ、(すぐ)(くるま)に命じて定王台に登り、湘流(しょうすい)(わた)って麓山に入った。

(しょうすい)の雲は低く(たか)く、(しょうすい)の波は容与(ゆったり)として、興が尽き悲しく()ったので、醉って吟じて調(しらべ)()きた。

 

古城(ふるいまち)の陰、官梅は幾許(どれほど)有るのか、紅萼(はな)は簪には未宜(まだふさわしくな)い。

池面(みずも)は冰が()り、牆腰(かきね)には雪が(つも)り、雲の(けはい)還又()沈沈(どんより)

(みどり)の藤と(おな)径竹(たけのこみち)(しず)かに穿(とおりぬ)けると、(ようや)笑語(わらいごえ)で、()ていた(きし)(とり)驚起(おき)た。

野老(むらびと)の林や泉は、(むかし)の王の(たてもの)呼喚(よびあ)いながら登って(なが)めた。

 

5南北へ去来するのは何事(なぜ)蕩々たる(しょうすい)の雲、楚の(かわ)目極(とおくみ)やれば傷心(かな)しい。

朱戸(とびら)()られた鶏金盤(さら)(あつ)められた燕、時序(とき)侵尋(うしなわ)れるのを空しく嘆く。

(おもいだ)す、(かつ)て共に西楼で雅集(あつま)った、想う、(やなぎ)(やは)り万の糸金(えだ)()らしていた

(うま)を帰して()く時を待得()ってほしい、()(おそら)く春は(おわ)ろうとしているだろう。


yí è hóng

bǐng wǔ rén rì,tú kè cháng shā bié jià zhī guān zhèng táng.
táng xià qǔ zhǎo,zhǎo xī fù gǔ yuán,yǒu lú jú yōu huáng,yí jìng shēn qǔ.
chuān jìng ér nán,guān méi shù shí zhū,rú jiāo rú shū,huò hóng pò bái lù,zhī yǐng fú shū.
zhāo jī cāng tái xì shí jiān,yě xìng héng shēng,qì mìng jià dēng dìng wáng tái,luàn xiāng liú rù lù shān.
xiāng yún dī áng,xiāng bō róng yǔ,xìng jìn bēi lái,zuì yín chéng diào.

1 gǔ chéng yīn,yǒu guān méi jǐ xǔ,hóng è wèi yí zān.
2 chí miàn bīng jiāo,qiáng yāo xuě lǎo,yún yì hái yòu chén chén.
3 cuì téng gòng、xián chuān jìng zhú,jiàn xiào yǔ,jīng qǐ wò shā qín.
4 yě lǎo lín quán,gù wáng tái xiè,hū huàn dēng lín.

5 nán qù běi lái hé shì,dàng xiāng yún chǔ shuǐ,mù jí shāng xīn.
6 zhū hù nián jī,jīn pán cù yàn,kòng tàn shí xù qīn xún.
7 jì céng gòng、xī lóu yǎ jí,xiǎng chuí liǔ、hái niǎo wàn mì jīn.
8 dài dé guī ān dào shí,zhǐ pà chūn shēn.

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