2022年8月17日水曜日

075満庭芳(秦観)

満庭芳  秦観

1山抹微雲、天黏衰草、画角声断譙門。
2暫停征棹、聊共引離樽。
3多少蓬萊旧事、空回首・煙靄紛紛。
4斜陽外、寒鴉万点、流水繞孤村。

5銷魂。
6当此際、香囊暗解、羅帯軽分。
7漫贏得・青楼薄幸名存。
8此去何時見也、襟袖上、空惹啼痕。
9傷情処、高城望断、灯火已黄昏。

1山をうすい雲が塗り込め、空に枯れた草が連なり、譙門では角笛の音が途絶えた。
2しばらく旅行く棹を停めて、しばし共に別れの酒を酌もう。
3どれほどあったろうか、蓬萊の仙境のごとき思い出、むなしく振り返る、もやがぼんやりと立ちこめる辺りを。
4夕陽の向こうに、秋の鴉の群れ、ぽつんとした村を川が繞って。

5さびしい。
6わかれぎわ、私は帯につけている香り袋をひそかに解き、あの人は絹の帯をそっと解いて、互いに贈った。
7みだりに「青楼薄幸(うわきおとこ)」の誉れを残した。
8ここを去ったのち、いつまた会えるだろう、襟や袖には、むなしく涙のあとが残る。
9悲しみにくれて、街を望めば、すでに黄昏に灯火がともっている。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1黏:はりつく。「連」とするテキストもある。 譙門:「譙楼」、城門の上にある建物で、展望できる。 4「寒鴉」二句:隋の煬帝煬広の断句に「寒鴉千万点、流水繞孤村(寒鴉 千万点、流水 孤村を繞る)」とある。「万」は「数」とするテキストもある。 6香囊:香り袋、古代の人は身につけて装飾品や贈り物とした。 7「漫贏得」句:杜牧「遺懐」詩に「十年一覚揚州夢、贏得青楼薄幸名(十年 一覚 揚州の夢、贏し得たり 青楼薄幸の名)」とある。「青楼」は妓女のいるところ。

1山は(うす)い雲に()られ、天は()れた草に(つら)なり、画角(つのぶえ)の声は譙門に(とだ)えた。

(しばら)(たび)の棹を停めて、(しば)し共に(わか)れの(さけ)()もう。

多少(どれほど)か、蓬萊の旧事(おもいで)(むな)しく回首(ふるかえ)る、煙靄(もや)紛紛(ぼんやり)

斜陽(ゆうひ)(むこう)(あき)の鴉の万点(むれ)流水(かわ)孤村(むら)(めぐ)る。

 

銷魂(さび)しい。

当此際(わかれぎわ)、香り(ふくろ)(ひそ)かに解き、(きぬ)の帯を(そっ)()いた。

(みだり)贏得(のこ)した、青楼薄幸(うわきおとこ)名存(ほまれ)

(ここ)を去って何時(いつ)()えるだろう()、襟や袖の上に、(むな)しく(なみだ)(あと)(のこ)す。

傷情(かな)しい処、高城(まち)望断(のぞ)めば、灯火が(すで)黄昏(たそがれ)に。


mǎn tíng fāng

1 shān mò wēi yún,tiān nián shuāi cǎo,huà jiǎo shēng duàn qiáo mén.
2 zàn tíng zhēng zhào,liáo gòng yǐn lí zūn.
3 duō shǎo péng lái jiù shì,kōng huí shǒu、yān ǎi fēn fēn.
4 xié yáng wài,hán yā wàn diǎn,liú shuǐ rào gū cūn.

5 xiāo hún.
6 dāng cǐ jì,xiāng náng àn jiě,luó dài qīng fēn.
7 màn yíng dé、qīng lóu bó xìng míng cún.
8 cǐ qù hé shí jiàn yě,jīn xiù shàng,kōng rě tí hén.
9 shāng qíng chù,gāo chéng wàng duàn,dēng huǒ yǐ huáng hūn.

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