2022年8月14日日曜日

066洞仙歌(蘇軾)

洞仙歌  蘇軾 

余七歳時、見眉山老尼、姓朱、忘其名、年九十歳。自言嘗随其師入蜀主孟昶宮中、一日大熱、蜀主与花蕊夫人夜納涼摩訶池上、作一詞、朱具能記之。今四十年、朱已死久矣、人無知此詞者、但記其首両句、暇日尋味、豈洞仙歌令乎、乃為足之云。

1冰肌玉骨、自清涼無汗。
2水殿風来暗香満。
3繡簾開・一点明月窺人、人未寝、欹枕釵橫鬢乱。
4起来携素手、庭戸無声、時見疏星渡河漢。

5試問夜如何。
6夜已三更、金波淡、玉繩低転。
7但屈指・西風幾時来、又不道流年・暗中偸換。

私は七歳の時に、眉山の老尼に会った。姓は朱、その名は忘れた、年は九十歳。自分で言うには、かつてその師に随行して蜀の君主孟昶の宮中に入った。一日中ひどく熱く、蜀主は花蕊夫人と夜に摩訶池のほとりで納涼し、詞を一首作った。朱老尼はすべてこれを記録することができた。今や四十年がたち、朱老尼はすでに死んで久しい。この詞を知る者も誰もいなくなり、ただその冒頭の二句だけが記録されている。休日によく吟味したところ、なんと「洞仙歌令」ではないか。そこでこれに足して作った、その歌辞に云う。

1冰や玉のような身体、もとより清涼にして、汗もかかない。
2水辺の宮殿に風が吹いて来て、ひそやかな香りに満たされる。
3簾の開いたところから、ぽつんと明月があの人を窺く、あの人はまだ眠れない、枕にもたれて釵(かんざし)が斜めになり、鬢も乱れて。

4起きて白い手を引いて行く、庭はひっそりして、たまに流れ星が銀河を渡るのが見える。
5試しに問うてみようか、夜はどれほどか、と。
6夜は已に三更、金の波のように月光は淡く、玉繩星が低い位置まで移動している。
7ただ指を折って、秋風がいつ来るかとばかり数え、また過ぎゆく年がひそかにこっそりと移ろうていたことは、分からない。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0孟昶:五代後蜀の君主、934年から965年在位。 花蕊夫人:孟昶の費貴妃の別号、詩文にすぐれ、蜀が滅んだ後は宋に入った。 摩訶池:隋代に造られ、成都の城内にあった。「摩訶」は梵語、大きいの意。 作一詞:孟昶の作った詞は、いまは伝わらない。『漫叟詩話』『陽春白雪』等では蘇軾のこの詞の序から附会して、蘇軾の詞を改めて孟昶に「玉楼春」詞、「氷肌玉骨清無汗、水殿風来暗香満。簾開明月独窺人、欹枕釵橫鬢乱。起来瓊戸無声、時見疏星度河漢。屈指西風幾時来、只恐流年暗中換」があるとする。 6金波:月光を指す。 玉繩:星の名。 7不道:知らぬ間に。

(わたし)は七歳の時、眉山の老尼に()った。姓は朱、其の名は忘れた。年は九十歳。自らが言うには、(かつ)て其の師に随って蜀主孟昶の宮中に入り、一日、大いに熱く、蜀主は花蕊夫人()夜に摩訶池の(ほとり)で納涼し、一詞を作り、朱は(すべ)(これ)を記すことが(でき)た。今や四十年、朱は已に死んで久しいのだ()(だれ)()の詞を知る者は無く、()だ其の(あたま)両句を記し、暇日(やすみ)()く味わえば、(なん)と洞仙歌令ではない()(そこ)(これ)に足して(つく)って、()う。

 

1冰の肌、玉の骨、(もと)より清涼(すず)しく汗も無い。

2水べの殿(たかどの)に風が来て(ひそか)(かおり)が満ちる。

繡簾(すだれ)かれ、一点明月(あのひと)を窺う、(あのひと)未寝(ねむれな)い、枕に(もた)れて(かんざし)(ななめ)に、鬢は乱れて。

 

起来(おき)(しろ)い手を()く、庭戸(にわ)無声(ひっそり)、時に疏星(ながれぼし)河漢(ぎんが)を渡るのが見える。

5試しに問う、夜は如何(どれほど)か、と。

6夜は已に三更、金波(つきのひかり)は淡く、玉繩(ほし)は低く(うご)く。

()西風(あきかぜ)幾時(いつ)来るかと指を()る、()不道(わからな)い、流年(とき)暗中(ひそか)(こっそり)(かわ)ることを。


dòng xiān gē

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1 bīng jī yù gǔ,zì qīng liáng wú hàn.
2 shuǐ diàn fēng lái àn xiāng mǎn.
3 xiù lián kāi、yì diǎn míng yuè kuī rén,rén wèi qǐn,qī zhěn chāi héng bìn luàn.

4 qǐ lái xié sù shǒu,tíng hù wú shēng,shí jiàn shū xīng dù hé hàn.
5 shì wèn yè rú hé.
6 yè yǐ sān gēng,jīn bō dàn,yù shéng dī zhuàn.
7 dàn qū zhǐ、xī fēng jǐ shí lái,yòu bú dào liú nián、àn zhōng tōu huàn.

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