2022年8月10日水曜日

058六么令(晏幾道)

六么令  晏幾道

1緑陰春尽、飛絮繞香閣。
2晚来翠眉宮様、巧把遠山学。
3一寸狂心未説、已向橫波覚。
4画簾遮帀、新翻曲妙、暗許閑人帯偷掐。

5前度書多隠語、意浅愁難答。
6昨夜詩有回文、韻険還慵押。
7都待笙歌散了、記取来時霎。
8不消紅蠟、閑雲帰後、月在庭花旧欄角。

1緑が濃くなり春は終わろうとして、飛ぶ柳のわたが髙楼をめぐる。
2晚になって黒々とした眉は宮廷で流行りのスタイルに整えられ、巧みに遠山を真似ている。
3わずかな恋心はまだ語られないうちに、もう流し目にこめられている。
4簾に囲まれた部屋から、新しく作られた妙なる音色、ひそかに許す、だれかヒマな人が弾き方を盗むことを。

5このまえの手紙にはほのめかしが多くて、あなたの思いは浅く、私は悲しくて返事ができなかった。
6昨夜の詩も回文で、韻は難しく、やはり合わせて押韻するのが面倒だ。
7すっかり宴が終わったら、その一瞬を捉えて来る時だと覚えていてほしい。
8赤い蝋燭など要らない。雲が去ったのち、月は庭の花の上にかかって照らしてくれる、あのなじみのある欄干のかたすみに。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2遠山:眉のようす。024欧陽脩「訴衷情」の注、参照。 3橫波:流し目のこと。 4遮帀:周囲をめぐらせる。「匝」と同じ。 帯偷掐:こっそり真似していく。「花を掐(つま)む」は「曲を学ぶ」の比喩。 6回文:詩中の字句が回り回って、文になっていないこと。  韻険:押韻できないこと。 7霎:一瞬。 8不消:必要がない。

中華書局『宋詞三百首誦読本』注:
6回文:詩体の一種。逆から読んでも意味を成す文。

1緑が陰(こ)くなり春は尽(おわ)ろうとして、飛絮(やなぎのわた)が香閣(たかどの)を繞(めぐ)る。

2晚来(よるにな)って翠眉(まゆ)は宮(きゅうてい)様(スタイル)、巧みに遠山を(把)学(まね)る。

3一寸(わずか)な狂心(こいごころ)は未説(かたられな)い、已(すで)に橫波(ながしめ)に覚(めば)える。

4画簾(すだれ)に遮帀(とじ)られ、新たに翻(つく)った曲は妙(すばら)しい、暗(ひそか)に許す、閑人(だれか)が掐(ひきかた)を帯偷(ぬす)んでも。

 

5前度(このまえ)の書(てがみ)は隠語(ほのめかし)が多く、意(おもい)は浅く愁(かな)しくて難答(こたえられな)い。

6昨夜の詩には回文が有り、韻険(むずか)しくて還(やは)り慵押(あわせたくな)い。

7都(すっか)り笙歌(うたげ)が散了(おわ)るのを待てば、来る時の霎(わずか)を取ると記(おぼ)えよ。

8紅(あか)い蠟(ろうそく)は不消(いらな)い、閑雲(くも)が帰(さ)った後、月は庭の花の旧(ふる)い欄(てすり)の角(すみ)に在る。


liù yāo lìng

1 lǜ yīn chūn jìn,fēi xù rào xiāng gé.
2 wǎn lái cuì méi gōng yàng,qiǎo bǎ yuan shān xué.
3 yí cùn kuáng xīn wèi shuō,yǐ xiàng héng bō jué.
4 huà lián zhē zā,xīn fān qǔ miào,àn xǔ xián rén dài tōu qiā.

5 qián dù shū duō yǐn yǔ,yì qiǎn chóu nán dá.
6 zuó yè shī yǒu huí wén,yùn xiǎn hái yōng yā.
7 dōu dài sheng gē sàn liǎo,jì qǔ lái shí shà.
8 bù xiāo hóng là,xián yún guī hòu,yuè zài tíng huā jiù lán jiǎo.

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