2022年8月8日月曜日

045桂枝香(王安石)

桂枝香  王安石

1登臨送目。
2正故国晚秋、天気初肅。
3千里澄江似練、翠峰如簇。
4帰帆去棹斜陽裏、背西風・酒旗斜矗。
5彩舟雲淡、星河鷺起、画図難足。

6念往昔・繁華競逐、嘆門外楼頭、悲恨相続。
7千古憑高対此、漫嗟栄辱。
8六朝旧事隨流水、但寒煙・衰草凝緑。
9至今商女、時時猶唱、後庭遺曲。

1高いところに登って長江に臨み、遠くを眺める。
2いま古き都は晚秋、天気は暑気が静まりはじめたところ。
3千里までも流れる澄んだ川は絹に似て、みどりの峰は矢じりのよう。
4岸へ帰る帆船は棹をひきあげて斜陽の中にあり、秋風に吹かれて酒旗が斜めに立っている。
5夕陽に彩られた舟、うすい雲、銀河が水面に映り、白鷺が飛び起つ、画でもこの風景の美しさを描ききるのは難しかろう。

6思えば昔、ここは繁華を競いあっていた。ああ、城門の外に隋の将軍韓擒虎が迫っていた時、楼頭では陳の後主の寵妃張麗華がなお音曲を楽しんでいて、悲しみと恨みとが次々と続いた。
7千年の昔から高いところで佇む人たちは、この景色を目の前に、都の栄華と亡国の恥辱をむだに嘆いたのであろう。
8六朝時代の出来事は流れる水に隨って過ぎゆき、ただ寒々とした水煙と枯れた草だけがわずかに緑色を呈している。
9今になっても歌姫は、しばしばまだ唱うのだ、陳の後主の遺曲「玉樹後庭花」を。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0桂枝香:黄昇『唐宋諸賢絶妙詞選』では詞牌の下に「金陵懐古」の四字が記されていて、いま多くの選集がこれに従っているが、後世の人が内容にあわせて付け加えたもので、作者が題したものではない。 2故国:古都、金陵は六朝時代と南唐時代に都だった。 3澄江似練:謝朓「晩登三山還望京邑」詩に「余霞散成綺、澄江静如練(余霞 散じて綺と成り、澄江 静かなること練の如し)」とある。 簇:矢じり。 5「彩舟」二句:長江に映る風景。「星河」は銀河。 6「嘆門外」二句:杜牧「台城曲」に「門外韓擒虎、楼頭張麗華(門外の韓擒虎、楼頭の張麗華)」とある。陳が隋に滅ぼされた時の描写。韓擒虎は隋の将軍、張麗華は後主陳叔宝の寵妃。韓擒虎が兵を率いて朱雀門を破って金陵に侵攻した時、後主と妃はまだ結綺閣で詩を作り音楽を奏でていた。 7漫嗟:むだに嘆息する。この二句を唐圭璋は「千古凭高、対此漫嗟栄辱」と区切る。 8六朝:金陵を都とした東呉・東晋・宋・斉・梁・陳。 9「至今」三句:杜牧「泊秦淮」詩に「商女不知亡国恨、隔江猶唱後庭花(商女は知らず 亡国の恨み、江を隔てて猶お歌う後庭花)」とある。「商女」は歌を売る歌女。「後庭遺曲」は陳叔宝の「玉樹後庭歌」、曲は哀怨に満ち、亡国の音といわれる。

登臨(たかみにのぼ)って送目(ながめや)る。

2正に故国(ふるきみやこ)は晚秋、天気は(しず)まり初めたところ。

3千里も()んだ(かわ)(きぬ)(よう)(みどり)の峰は(やじり)(よう)

4帰る(ふね)は棹を()きあげる、斜陽の(うち)、西風を背に、酒旗は斜めに()つ。

5彩られた舟、雲は淡く、星河に鷺が(とびた)ち、画図()でも難足(たりな)い。

 

(おも)う、往昔(むかし)、繁華を競い()うを、嘆く、門外の楼頭(たかどの)で、悲恨の(こもご)も続いたことを。

7千古より高みに(もた)れて此に(むか)い、(みだり)に栄辱を(なげ)く。

8六朝の旧事(できごと)は流水に隨い、()だ寒々しい(もや)()れた草が緑を(あつめ)ている。

9今に()っても商女(うたひめ)は、時時(しばしば)()だ唱う、後庭の遺曲を。


guì zhī xiāng

1 dēng lín sòng mù.
2 zhèng gù guó wǎn qiū,tiān qì chū sù.
3 qiān lǐ chéng jiāng sì liàn,cuì fēng rú cù.
4 guī fān qù zhào xié yáng lǐ,bèi xī fēng、jiǔ qí xié chù.
5 cǎi zhōu yún dàn,xīng hé lù qǐ,huà tú nán zú.

6 niàn wǎng xī、fán huá jìng zhú,tàn mén wài lóu tóu,bēi hèn xiāng xù.
7 qiān gǔ píng gāo duì cǐ,màn jiè róng rǔ.
8 liù cháo jiù shì suí liú shuǐ,dàn hán yān、shuāi cǎo níng lǜ.
9 zhì jīn shāng nǚ,shí shí yóu chàng,hòu tíng yí qǔ.

0 件のコメント:

コメントを投稿