2022年8月7日日曜日

044竹馬子(柳永)

竹馬子  柳永

1登孤壘荒涼、危亭曠望、静臨煙渚。
2対雌霓掛雨、雄風払檻、微收残暑。
3漸覚一葉驚秋、残蟬噪晚、素商時序。
4覧景想前歓、指神京・非霧非煙深処。

5向此成追感、新愁易積、故人難聚。
6憑高尽日凝佇、贏得消魂無語。
7極目霽靄霏微、暝鴉零乱、蕭索江城暮。
8南楼画角、又送残陽去。

1ぽつんと残る荒涼とした壘に登って、そびえる亭(あずまや)から広々と眺める、もやる渚を静かに眺める。
2目の前には、色鮮やかな虹と通りかかる雨、力強い風が欄干に吹き、わずかに残暑をしずめた。
3しだいに感じる、葉が一枚、秋風に驚かされて散り落ち、夏のおわりの蟬が暮れまでうるさく鳴き、秋の季節になったのだ、と。
4その風景を見ながら以前の歓楽を想い出し、都を指さすも、霧でもなく靄でもないのに、ぼんやりと遠く見えない。

5こうして追憶の感慨がおき、新しい愁いは容易につのるが、旧友とふたたび集まるのは難しい。
6高所で欄干にもたれながら、一日中、思い詰めて佇む、残っているのは言葉もなく消えそうな魂だけ。
7目をこらしていると、晴れて靄がうすく立ち、暮れの鴉がばらばらとねぐらへ帰り、ひっそりと川沿いの町は暮れようとしている。
8南楼に角笛の音が響き、これもまた夕陽を見送る。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2雌霓:二層になって現れる七色のニジの、色鮮やかなほうを雄として「虹」といい、暗いほうを雌として「霓」という。ここでは「雄風」との対で、色鮮やかなほうを指している。 雄風:強い風。宋玉「風賦」に「此大王之雄風也」とある。 3素商時序:秋の季節。五行説では、秋は五色のうち白なので「素」という。五音では「商」に属する。 7霽靄:晴れている時に立つ靄。

1孤壘(とりで)の荒涼たるに登り、危(そび)える亭から曠(ひろ)く望(ながめ)る、静かに煙(もや)る渚を臨(み)る。

2対(むか)う、雌霓(にじ)と掛雨(とおりあめ)、雄(つよ)い風が檻(てすり)を払い、微かに残暑を收める。

3漸(しだい)に覚(かん)じる、一葉が秋に驚(おどろ)かされ、残蟬(せみ)が晚(くれ)に噪(うるさ)い、素商(あき)の時序(とき)を。

4景(けしき)を覧(み)て前歓(むかし)を想い、神京(みやこ)を指(ゆびさ)すも、霧で非(な)く煙で非(な)く、深い処に。

 

5向此(こうし)て追感(おもいで)が成(こみあ)げ、新しい愁(うれい)は積(つの)り易いが、故人(ともだち)は聚(あつま)り難い。

6高みに憑(よ)りて尽日(ひがな)、凝(おもいつめ)て佇(たたず)み、消えそうな魂(こころ)だけが無語(ことばもな)く贏得(のこ)る。

7目を極めれば、霽(は)れて靄が霏微(うす)く、暝(くれ)の鴉が零乱(みだれと)び、蕭索(ひっそり)と江(かわ)の城(まち)は暮れる。

8南楼の画角(つのぶえ)、又(ま)た残陽(ゆうひ)を送り去(や)る。


zhú mǎ zǐ

1 dēng gū lěi huāng liáng,wēi tíng kuàng wàng,jìng lín yān zhǔ.
2 duì cí ní guà yǔ,xióng fēng fú jiàn,wēi shōu cán shǔ.
3 jiàn jué yí yè jīng qiū,cán chán zào wǎn,sù shāng shí xù.
4 lǎn jǐng xiǎng qián huān,zhǐ shén jīng、fēi wù fēi yān shēn chù.

5 xiàng cǐ chéng zhuī gǎn,xīn chóu yì jī,gù rén nán jù.
6 píng gāo jìn rì níng zhù,yíng dé xiāo hún wú yǔ.
7 jí mù jì ǎi fēi wēi,mìng yā líng luàn,xiāo suǒ jiāng chéng mù.
8 nán lóu huà jiǎo,yòu sòng cán yáng qù.

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