2022年8月2日火曜日

037定風波(柳永)

定風波  柳永

1自春来・惨緑愁紅、芳心是事可可。
2日上花梢、鶯穿柳帯、猶圧香衾臥。
3暖酥消、膩雲嚲、終日厭厭倦梳裹。
4無那。
5恨薄情一去、音書無個。

6早知恁麼、悔当初・不把雕鞍鎖。
7向雞窓、只与蛮箋象管、拘束教吟課。
8鎮相隨、莫抛躲、針線閑拈伴伊坐。
9和我。
10免使年少、光陰虚過。

1春になって、葉の緑も花の紅も私を悩ましくさせる、なにもかもどうでもよくなってしまった。
2日が花咲く梢の上にのぼり、鶯が柳の枝をぬって飛んで行くが、私はまだ布団をかぶって寝ている。
3皮膚はたるみ、髪は垂れ、終日うんざり、髪をすくのもあきあきして。
4どうしようもなく。
5うらめしい、薄情なあの人は行ったきり、音沙汰もなくて。

6こうと分かっていたなら、あの時、馬のくさりを解かなければよかった。
7書斎で、蜀の便箋と象牙の筆だけを与えて、あの人に詩詞を作らせることを日課にさせたものを。
8いつもあの人のそばで、一歩も離れず、針と糸を手にあの人のそばにずっと座っている。
9私とふたりだけ。
10それでようやく、私の若さも、無駄に過ぎ去りはしないのに。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1是事可可:なにごとも気にかけない、気持ちがない。 3暖酥消:皮膚がたるんでいる。「暖酥」は、女性の皮膚が温かい「酥」(乳製品)のようであること。 膩雲嚲:髪が垂れているさま。「膩雲」は女子の美しい髪のたとえ。「嚲」は垂れること。 4無那:如何ともできない。「那」と「奈」は同音。 6恁麼:このように。 7雞窓:晋の兗州刺史宋処宗が、窓辺の籠に鶏を飼っていて、しばらくすると人の言葉を話すようになり、終日談話しているうちに、宋処宗も弁舌巧みになった故事。『幽明録』に見える。のち、「鶏窓」は書斎の代名詞となった。 蛮箋:蜀の便箋。 象管:象牙を管とする筆。 教吟課:詩詞を吟詠させることを日課とする。 8鎮:つねに、ながく、永遠に。

1春が来てから()惨愁(なやま)しい()(はな)芳心(こころ)是事(すべ)てに可可(なおざり)に。

2日が花さく梢に上り、鶯が柳の帯を穿っても、()香衾(しとね)(かぶ)って()ている。

暖酥(ひふ)(たる)み、膩雲(かみ)()れ、終日(ひがな)厭厭(うんざり)梳裹(くしけず)るのも(あきあき)して。

無那(どうしようもな)く。

(うら)めしい、薄情にも一去(いったき)り、音書(てがみ)(ひとつ)も無くて。

 

(さき)恁麼(このよう)だと(わか)っていたら、当初(あのとき)雕鞍(くら)()不鎖(とかな)ければと(くや)む。

雞窓(しょさい)()()蛮箋(びんせん)象管(ふで)だけを与え、拘束(しばりつけ)(まいにち)(つく)らせ()たものを。

(いつ)相隨(そばにい)て、(のがれ)ること()、針と(いと)(ゆったり)()って(あのひと)(そば)に坐っている。

(わたし)()

10 年少(わかさ)免使(むだにさせな)い、光陰(とき)が虚しく過ぎることなく。


dìng fēng bō


1 zì chūnlái、cǎn lǜ chóu hóng,fāng xīn shì shì kě kě.
2 rì shàng huā shāo,yīng chuān liǔ dài,yóu yā xiāng qīn wò.
3 nuǎn sū xiāo,nì yún duǒ,zhōng rì yàn yàn juàn shū guǒ.
4 wú nà.
5 hèn bó qíng yí qù,yīn shū wú gè.

6 zǎo zhī nèn me,huǐ dāng chū、bù bǎ diāo ān suǒ.
7 xiàng jī chuān,zhǐ yǔ mán jiān xiàng guǎn,jū shù jiāo yín kè.
8 zhèn xiāng suí,mò pāo duǒ,zhēn xiàn xián niān bàn yī zuò.
9 hé wǒ.
10 miǎn shǐ nián shào,guāng yīn xū guò.

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