2022年8月2日火曜日

036浪淘沙慢(柳永)

浪淘沙慢  柳永

1夢覚透窓風一線、寒灯吹息。
2那堪酒醒、又聞空階夜雨頻滴。
3嗟因循・久作天涯客。
4負佳人・幾許盟言、便忍把・従前歓会、陡頓翻成擾戚。

5愁極。
6再三追思、洞房深処、幾度飲散歌闌、香暖鴛鴦被。
7豈暫時疏散、費伊心力。
8殢雲尤雨、有万般千種、相憐相惜。

9恰到如今、天長漏永、無端自家疏隔。
10知何時・却擁秦雲態。
11願低幃昵枕、軽軽細説与、江郷夜夜、数寒更思憶。

1夢から覚めると、ひとすじ風が窓から忍びこみ、かすかに揺れる灯火を吹き消した。
2酔いが醒め、また寒々しい階段に夜の雨がポツポツ落ちる音を聴かなくてはならない。
3ああ私はずいぶんと、天涯の旅人としてやり過ごしてきたものだ。
4美しいあの人との幾たびもの誓い、かつての歓びはあっという間に、憂いと悲しみに変わってしまった。

5かなしい。
6繰り返し思い出す、奥深い寝室で、幾度も酒杯と歌を重ねたあとの、匂やかな暖かい鴛鴦のしとね。
7束の間の憂さ晴らしに、あの人の心を費やしたのではない。
8歓楽を尽くし、ありとあらゆる、互いの憐れみがあったのだ。

9いまや、天の果てに、故もなく遠く隔たってしまった。
10いつになったら、あの「雲雨の交わり」をまた重ねられるのだろう。
11とばりを垂らし枕元で、ささやきあって、「あの頃は毎夜つらかったよ」と思い出しながら。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
3因循:その場限りのことをしてお茶を濁す、いいかげんだ。 4陡頓:短い時間。 7疏散:愁いをはらす。 8殢雲尤雨:男女の情交を尽くす。「殢」は極める、「尤」は過度に。 9天長漏永:道は遠く時は久しい。 10秦雲:秦楼楚館の雲雨。妓女との男女の交わりのこと。 11低幃昵枕:とばりを垂らし、枕元で親しくする。

1夢から覚め、窓を(とお)る風一線(ひとすじ)に、寒灯(ともしび)が吹き()された。

(どうし)て堪えられよう、酒が醒め、又た空階(きざはし)に夜の雨が(しきり)に滴るのを聞くなんて。

(ああ)因循(いつだって)、久しく天涯の(たびびと)()った。

佳人(あのひと)との幾許(いくたび)盟言(ちかい)(そむ)き、便(こうし)(しの)ぶ、従前(かつて)歓会(よろこび)()陡頓(にわか)憂戚(かなしみ)翻成(かえてしま)ったことを。

 

愁極(かな)しい。

6再三、追思(おもいだ)す、洞房(へや)深処(おく)、幾度もの飲歌(えん)散闌(おわ)ったあとの、香暖(あたたか)い鴛鴦の(しとね)

(どうし)暫時(つかのま)疏散(うさばらし)に、(あのひと)心力(こころ)を費すだろう。

雲雨(よろこび)殢尤(つく)万般千種(あまた)の、相憐相惜(あわれみ)が有ったのだ。

 

如今(いま)恰到()っては、天長漏永(てんのはて)に、無端(ゆえもな)自家(みずか)疏隔(はなれ)ている。

10(わからな)い、何時になったら、(おもいがけ)秦雲(よろこび)(すがた)()けるのか。

11願わくは(とばり)を低くたらし枕を(よせあ)い、軽軽(そっ)細説与(ささや)きたい、江郷(かのち)夜夜(よごと)、寒々しい(ときのね)を数えながらあなたを思憶(おも)っていたよ、と。


làng táo shā màn

1 mèng jué tòu chuān fēng yí xiàn,hán dēng chuī xī.
2 nǎ kān jiǔ xǐng,yòu wén kōng jiē yè yǔ pín dī.
3 jiè yīn xún、jiǔ zuò tiān yá kè.
4 fù jiā rén、jǐ xǔ méng yán,biàn rěn bǎ、cóng qián huān huì,dǒu dùn fān chéng yōu qī.

5 chóu jí.
6 zài sān zhuī sī,dòng fáng shēn chù,jǐ dù yǐn sàn gē lán,xiāng nuǎn yuan yāng bèi.
7 qǐ zàn shí shū sàn,fèi yī xīn lì.
8 tì yún yóu yǔ,yǒu wàn bān qiān zhǒng,xiāng lián xiāng xī.

9 qià dào rú jīn,tiān cháng lòu yǒng,wú duān zì jiā shū gé.
10 zhī hé shí、què yōng qín yún tài.
11 yuàn dī wéi nì zhěn,qīng qīng xì shuō yǔ,jiāng xiāng yè yè,shǔ hán gèng sī yì.

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