2022年8月1日月曜日

035采蓮令(柳永)

采蓮令  柳永

1月華收、雲淡霜天曙。
2西征客・此時情苦。
3翠娥執手、送臨歧・軋軋開朱戸。
4千嬌面・盈盈佇立、無言有涙、断腸争忍回顧。

5一葉蘭舟、便恁急槳凌波去。
6貪行色・豈知離緒、万般方寸、但飲恨・脈脈同誰語。
7更回首・重城不見、寒江天外、隱隱両三煙樹。

1月が光をおさめ、雲うすく、霜がおりてくる明け方。
2西への旅人が、たえがたい気持ちになる時。
3美しいあの人は私の手をとり、分かれ道まで見送るために、ギシギシと音をたてて朱塗りの大門を開けた。
4愛くるしい顔、しなやかに佇む姿、あの人は無言で涙を流している。私は断腸の思いで、振り返らずにはいられない。

5一艘の小舟が、こうしてすばやく波間を進む。
6旅立ちはあわただしく、想像できなかった、別れの悲しみが心におしよせ、ただただ思いを飲み込み、誰に話すこともできないのだとは。
7もういちど振り返ってみると、城壁も見えず、寒々しい江上からは、岸辺にかすむ二、三本の樹が見えるばかり。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2西征客:西へ向かって旅する人。 3翠娥:若く美しい女性のこと。 臨歧:岐路で別れる。 軋軋:ギシギシと。 6貪行色:出発の時のことばかり考える。「行色」は行旅に出発する前のようす。 方寸:心のこと。 脈脈:思いがふつふつとわくさま。 7重城:内外二重の城壁のある街。別れた場所を指す。

月華(つきのひかり)が收まり、雲は(うす)い、霜おりる(そら)(あけぼの)

2西へ()(たびびと)は、此の時の(おもい)に苦しむ。

翠娥(あのひと)は手を()り、(わかれみち)まで(みおく)った、軋軋(ギシギシ)朱戸()開けて

千嬌(あいくる)しい(かお)盈盈(しなやか)佇立(たたず)み、無言で有涙(ないてい)る、断腸(むねはりさけ)そうで、(どうし)回顧(ふりかえ)ることを(こら)えられようか。

 

一葉(いっそう)蘭舟(ふね)が、便(たちま)(このよう)(かい)凌波(なみ)に急がせ()く。

行色(たびじたく)(きをとら)れて、豈知(わからなか)った、(わか)れの(おも)いが、方寸(こころ)万般(おしよ)せ、但だ恨みを飲みこんで、脈脈(ふつふつ)と誰()語ることもできない、とは。

7更に回首(ふりかえ)ると、重城(まち)不見(みえな)い、寒々しい(かわ)(そら)(むこう)隠隠(ひっそり)()・三の(けぶ)る樹だけ。


cǎi lián lìng

1 yuè huá shōu,yún dàn shuāng tiān shǔ.
2 xī zhēng kè 、cǐ shí qíng kǔ.
3 cuì é zhí shǒu,sòng lín qí、yà yà kāi zhū hù.
4 qiān jiāo miàn、yíng yíng zhù lì,wú yán yǒu lèi,duàn cháng zhēng rěn huí gù.

5 yí yè lán zhōu,biàn nèn jí jiǎng líng bō qù.
6 tān xíng sè、qǐ zhī lí xù,wàn bān fang cùn,dàn yǐn hèn、mò mò tóng shuí yǔ.
7 gèng huí shǒu、chóng chéng bú jiàn,hán jiāng tiān wài,yǐn yǐn liǎng sān yān shù.

1 件のコメント:

  1. 断腸の思い。
    せいじかさんがよく使いますが、適当かどうかいつも悩むにゃ。

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