2022年8月1日月曜日

032曲玉管(柳永)

曲玉管  柳永

1隴首雲飛、江辺日晚、煙波満目憑闌久。
2一望関河蕭索、千里清秋、忍凝眸。

3杳杳神京、盈盈仙子、別来錦字終難偶。
4断雁無憑、冉冉飛下汀洲、思悠悠。

5暗想当初、有多少・幽歓佳会、豈知聚散難期、翻成雨恨雲愁。
6阻追遊、每登山臨水、惹起平生心事、一場消黯、永日無言、却下層楼。

1丘の高く雲が流れ、岸辺に夕陽が落ち、もやにけぶる波ばかりが広がる、たかどので欄干にもたれる私の前に。
2見渡すかぎり寂しい山と川、千里のはてまでも続く秋の光景を、私は我慢して目を凝らして見ている。

3遠い都、仙女のように美しい、別れて以来、再会はむずかしい。
4群をはぐれた雁はアテにならない、ゆっくりと水際に降りた、思いがつのる。

5思えばあの頃、いくども密やかな歓びを得たのに、出会いも別れも思いどおりにはならず、手を翻せば雨となる(男女の交歓のこと)も、愁いの雲だけが残ろうとは知らなかった。
6ふたたびあの人と楽しむことはできない、山に登り川を眺めるたびに、平生の恨みが沸き上がり、暗澹として、終日ことばもなく、楼を下りるばかり。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1隴首:高い丘の上。 2忍凝眸:この光景を我慢して見る。 3神京:みやこ。 盈盈:美しいさま。 「別来」句:別れたのちに思いを断ちがたく、再会がむずかしいこと。「錦字」は、晋の竇滔が妻の蘇蕙のもとを遠く離れる際に、蘇氏が錦を織って字にして、「回文璇璣図」詩を作って夫に送った故事。文字が回文になっていて、思いが尽きないことを表した。 4断雁:群からはぐれた雁。 無憑:雁は手紙を届けるというが、あてにならないこと。 冉冉:しだいに。 5雨恨雲愁:男女が交歓できない愁い、恨みをいう。 6消黯:「黯然消魂(暗然として意気沮喪する)」を縮めた言葉。 永日:終日、一日じゅう。

1隴首(おかのうえ)に雲が飛び、江辺(かわべ)で日が晚(く)れ、煙(けぶ)る波が目に満(いっぱ)い、闌(てすり)に憑(もた)れる、久(いつまで)も。

2一望(みわたすかぎ)り関河(さんが)は蕭索(さび)しく、千里の清秋(あき)に、忍んで眸(まなこ)を凝らす。

 

3杳杳(はるけ)き神京(みやこ)、盈盈(うつく)しい仙子(あのひと)、別来(わかれ)の錦字(ちかい)はあれど終(いつまで)も難偶(あえな)い。

4断(はぐ)れた雁は無憑(たよれな)い、冉冉(ゆっくり)と汀洲(みぎわ)に飛び下りる、思いは悠悠(つの)る。

 

5暗(ひそ)かに想(おもいだ)す、当初(あのころ)、多少(たくさん)の幽歓(よろこび)と佳会(であい)が有ったのに、豈(どうし)て知(わか)らなかったのだろう、聚(であい)も散(わかれ)も難期(いにそわ)ず、恨愁(うらみ)の雨雲(よろこび)に翻成(な)ろうとは。

6追遊(おもいで)を阻むように、山に登り水(かわ)に臨む毎(たび)に、平生の心事(おもい)が惹起(わきあが)る、一場(あっというま)に消黯(しょうちん)し、永日(ひがな)無言で、却って楼(たかどの)を下層(お)りる。


qǔ yù guǎn

1 lǒng shǒu yún fēi,jiāng biān rì wǎn,yān bō mǎn mù píng lán jiǔ.
2 yí wàng guān hé xiāo suǒ,qiān lǐ qīng qiū,rěn níng móu.

3 yǎo yǎo shén jīng,yíng yíng xiān zǐ,bié lái jǐn zì zhōng nán ǒu.
4 duàn yàn wú píng,rǎn rǎn fēi xià tīng zhōu,sī yōu yōu.

5 àn xiǎng dāng chū,yǒu duō shao、yōu huān jiā huì,qǐ zhī jù sàn nán qī,fān chéng yǔ hèn yún chóu.
6 zǔ zhuī yóu,měi dēng shān lín shuǐ,rě qǐ píng shēng xīn shì,yì chǎng xiāo àn,yǒng rì wú yán,què xià céng lóu.

2 件のコメント:

  1. いつも悩むんだけどね、この時代の人々は思いを寄せるのが異性とは限らないのではないかと。
    だめ?

    返信削除
  2. かもだけど、この作品についていえば、典故が「男女の交歓」です。それを踏まえた上で、神仙や仙女をほかの誰かに喩える、はありかも知れないけど、ジャンプするための何かがないと難しいと思います。

    にしても柳永になるととたんに長くなる、と前から読んでくると実感しますね。

    返信削除