公択舅に次韻す
1昨夢黄粱半熟 昨夢 黄粱 半ば熟す
2立談白璧一双 立談 白璧 一双
3驚鹿要須野草 驚鹿は要するに野草を須(もと)め
4鳴鴎本願秋江① 鳴鴎は本(もと)より秋江を願う
【通釈】
公択おじさん[1]の詩に次韻する
昨夜の夢は、黄粱が十分に煮えぬほどの短い間のことでした。
かつて虞卿が立ち話で白璧一双をいただいた夢を、見ていました。
驚いて走る鹿が求めるのは野草でしょうし、
鳴く鴎が願うのは秋の川辺でしょう。
【任淵注】
①「黄粱」は上注(0104「王稚川既得官都下有所盼未帰予戯作林夫人欵乃歌二章与之(竹枝歌本出三巴其流在湖湘耳)欸乃湖南歌也」其二「蓋世功名黍一炊」の注)、参照。『史記』「虞卿伝」に、「趙の孝成王に遊説し、最初の面会で黄金百鎰、白璧一双を下賜された」とある。唐の王建(王維の誤り)の六言詩「田園楽七首」其二に、「再見して侯万戸に封ぜられ、立談して璧一双を賜る」とある。嵇康の「絶交書」に、「禽鹿、志は豊草に在り」[2]とある。
【補注】
[1]李常(1027~1090)、字は公択、建昌(いまの江西省永修西北)の人。母方のおじ(「舅」は母の兄弟)で、蘇軾の友人、王安石とも親しかった。黄庭堅は14歳で父を亡くし、李常のもとで学業を続けた。李常は新法に反対して地方に出されることになり、この詩はそれを慰めたもの。李常のもとの詩は伝わっていない。
[2]嵇康「与山巨源絶交書」、『文選』巻四十三。自分は『荘子』や『老子』を読んで放縦になり、世間での栄達を願う心は失せた、これは「鹿が小さい時に飼育されれば調教に従うが、成長してから束縛されると死に物狂いで綱を引きちぎって熱湯や火の中にさえ飛び込むようなもので、黄金のくつわで飾られても、おいしい御馳走でもてなされても、ますます深い林を懐かしみ、茂った草を求めるようなものです」という一節。
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