2022年10月6日木曜日

239三姝媚(呉文英)

三姝媚  呉文英

過都城旧居有感

1湖山経酔慣。
2漬春衫・啼痕酒痕無限。
3又客長安、嘆断襟零袂、涴塵誰浣。
4紫曲門荒、沿敗井・風搖青蔓。
5対語東鄰、猶是曾巢、謝堂双燕。

6春夢人間須断。
7但怪得当年、夢縁能短。
8繡屋秦箏、傍海棠偏愛、夜深開宴。
9舞歇歌沈、花未減・紅顔先変。
10佇久河橋欲去、斜陽涙満。

都の旧居を通りかかり感じるものが有った

1湖や山でかつて酔うのに慣れて。
2春の衣を濡らした、啼いたあと、酒のあとが、限りなく。
3また都に旅人としている、嘆く、破れた襟や袂、塵に汚れて、誰が洗ってくれるだろうか。
4慣れ親しんだ一角の門は荒れて、くずれた井戸に沿って、風が青い蔓を搖らしている。
5東鄰りで囀るのは、やはりかつて巣を作った、つがいの燕。

6春の夢はこの世では断たれるに違いない。
7ただ不思議なのはあの年、夢のような縁がこれほどにも短かかったこと。
8あの人は部屋で箏を弾いた、そばの海棠はひたすら愛らしく、夜が深けて宴が開かれた。
9舞が終わり歌が終わっても、花は艶やかさを減らさなかったが、花のようなあの人は先に変わってしまった。
10しばらく河橋で佇み、あの人のもとへ行きたいと思うが、夕日に涙があふれるばかり。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2漬:染める。 3涴:埃や塵で汚れている。 浣:洗う。 4紫曲:妓女の住まう坊曲。 5謝堂燕:唐・劉禹錫「烏衣巷」詩に「旧時王謝堂前燕、飛入尋常百姓家(旧時 王謝堂前の燕、飛んで尋常百姓の家に入る)」とある。 7能:「凭」に通じる。このように。

都城(みやこ)の旧居を(とお)り感じるものが有った

 

1湖や山で(かつ)て酔うのに慣れて。

2春の(ころも)(ぬら)した、啼いた痕、酒の痕が、限り無く。

()長安(みやこ)(たびびと)として、嘆く、断零(やぶ)れた(えり)(たもと)、塵に(よご)れて(あら)おうか。

紫曲(なれしたしんだいっかく)の門は荒れ、(くず)れた(いど)に沿って、風が青い蔓を搖らす。

5東鄰りで対語(さえず)るのは、猶是(やは)(かつ)(すづくりし)た、謝堂(おやしき)双燕(つがいのつばめ)

 

6春の夢は人間(このよ)では断たれるに(ちがいな)い。

()怪得(ふしぎ)なのは当年(あのとし)、夢のような縁が(これほど)にも短かかったこと。

繡屋(へや)秦箏(こと)(そば)の海棠は(ひたす)ら愛らしく、夜が深けて宴が開かれた。

9舞が()み歌が(おわ)っても、花は未減(かわらな)かったが、紅顔(はなのようなあのひと)は先に変った。

10(しば)らく河橋(はし)で佇み、()たい()が、斜陽(ゆうひ)に涙が(あふ)れる。


sān shū mèi

guò dū chéng jiù jū yǒu gǎn

1 hú shān jīng zuì guàn.
2 zì chūn shān,tí hén jiǔ hén wú xiàn.
3 yòu kè cháng ān,tàn duàn jīn líng mèi,wò chén shuí huàn.
4 zǐ qǔ mén huāng,yán bài jǐng、fēng yáo qīng màn.
5 duì yǔ dōng lín,yóu shì céng cháo,xiè táng shuāng yàn.

6 chūn mèng rén jiān xū duàn.
7 dàn guài dé dāng nián,mèng yuán néng duǎn.
8 xiù wū qín zhēng,bàng hǎi táng piān ài,yè shēn kāi yàn.
9 wǔ xiē gē shěn,huā wèi jiǎn、hóng yán xiān biàn.
10 zhù jiǔ hé qiáo yù qù,xié yáng lèi mǎn.

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