2022年8月27日土曜日

114西河(周邦彦)

西河  周邦彦

金陵懐古

1佳麗地、南朝盛事誰記。
2山囲故国繞清江、髻鬟対起。
3怒濤寂寞打孤城、風檣遙度天際。

4断崖樹、猶倒倚、莫愁艇子誰繫。
5空余旧跡鬱蒼蒼、霧沈半壘。
6夜深月過女牆来、傷心東望淮水。

7酒旗戯鼓甚処市。
8想依稀・王謝鄰里。
9燕子不知何世、向尋常・巷陌人家、相対如説興亡、斜陽裏。

金陵を懐古する

1麗しい地、南朝の華やかだったようすを誰が覚えているだろう。
2山は古都を囲み、清らかな江がめぐり、豊かな髷のような山が向かい合ってそびえている。
3怒濤が孤城を寂しく打ち、風をはらんだ船は遠く天の際を進む。

4断崖の樹は、まだ倒れかかってくるかのようだ、莫愁の船を誰が繋ぐのだろう。
5むなしく残っている旧跡は鬱蒼として、霧で砦は半ば沈んでいる。
6夜が更け、月が女牆を過ぎて、悲しく東のほう、淮水を眺めた。

7酒屋の旗と芝居の太鼓、どこの市から聞こえてくるのだろう。
8かすかに、六朝時代の王一族や謝一族の住んでいた辺りが思われた。
9燕はいつの世かも知らないで、ふつうの通りの人家で、向かい合って興亡を語っているかのようだ、夕陽の中で。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1佳麗地:謝朓「入朝曲」に「江南佳麗地、金陵帝王州(江南 佳麗の地、金陵 帝王の州)」とある。 2山囲故国:劉禹錫「金陵五題 石頭城」詩に「山囲故国周遭在、潮打空城寂寞回。淮水東辺旧時月、夜深還過女牆来。(山は故国を囲んで周遭として在り、潮は空城を打って寂莫として回る。淮水の東辺 旧時の月、夜深くして還た女牆を過ぎて来たる)」とある。詞中の数カ所にこの詩が使われている。 髻鬟:青山の喩え。 4莫愁艇子:古楽府「莫愁楽」に「莫愁在何処、莫愁石城西。艇子打両槳、催送莫愁来(莫愁は何処にか在る、莫愁は石城の西。艇子 両槳を打ち、莫愁を催送して来たれ)」とある。莫愁は南朝の女性の名。石城は、もとは郢州(今の湖北省)の石城。誤って金陵の石頭城として伝えられ、金陵に莫愁の伝説が生まれて、いま南京に莫愁湖がある。 6女牆:城壁の上にある凹凸の低い牆。 淮水:秦淮河のこと。 8王謝:東晋の大貴族、王氏と謝氏。劉禹錫「金陵五題 烏衣巷」詩に「朱雀橋辺野辺花、烏衣巷口夕陽斜。旧時王謝堂前燕、飛入尋常百姓家(朱雀橋辺 野草の花、烏衣巷口 夕陽斜めなり。旧時の王謝 堂前の燕、飛んで尋常百姓の家に入る)」とある。この詞の後半数句に用いられている。

金陵を懐古する

 

佳麗(うつく)しい地、南朝の盛事(はでやか)を誰が(おぼ)えているだろう。

2山は故国(こと)を囲み清江(かわ)(めぐ)り、髻鬟(みね)対起(むかいあっ)ている。

3怒濤は寂寞(さび)しく孤城を打ち、風檣(ふね)(とお)天際(はて)(すす)む。

 

4断崖の樹は、()倒倚(たおれかか)る、莫愁の艇子(ふね)を誰が繫ぐのか。

(むな)しく(のこ)す旧跡は鬱蒼蒼(うっそう)、霧で(とりで)は半ば沈む。

6夜が()け月が女牆を過来(すぎ)て、傷心(かな)しく東のほう淮水を(なが)める。

 

酒旗(さかやのはた)戯鼓(しばいごやのたいこ)甚処(どこ)の市。

依稀(かすか)に王謝の鄰里(あたり)(おも)われた。

燕子(つばめ)何世(いつのよ)かも不知(しらな)いで、尋常(ふつう)巷陌(とおり)の人家()相対(むきあ)って興亡を(かた)っている(よう)斜陽(ゆうひ)(なか)で。


xī hé

Jīn líng huái gǔ

1 jiā lì dì,nán cháo sheng shì shuí jì.
2 shān wéi gù guó rào qīng jiāng,jì huán duì qǐ.
3 nù tāo jì mò dǎ gū chéng,fēng qiáng yáo dù tiān jì.

4 duàn yái shù,yóu dǎo yǐ,mò chóu tǐng zǐ shuí xì.
5 kōng yú jiù jì yù cāng cāng,wù shěn bàn lěi.
6 yè shēn yuè guò nǚ qiáng lái,shāng xīn dōng wàng huái shuǐ.

7 jiǔ qí xì gǔ shèn chù shì.
8 xiǎng yī xī、wáng xiè lín lǐ.
9 yàn zǐ bù zhī hé shì,xiàng xún cháng、xiàng mò rén jiā,xiāng duì rú shuō xīng wáng,xié yáng lǐ.

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