2022年8月26日金曜日

112綺寮怨(周邦彦)

綺寮怨  周邦彦

1上馬人扶残酔、暁風吹未醒。
2映水曲・翠瓦朱檐、垂楊裏・乍見津亭。
3当時曾題敗壁、蛛糸罩・淡墨苔暈青。
4念去来・歳月如流、徘徊久・嘆息愁思盈。

5去去倦尋路程、江陵旧事、何曾再問楊瓊。
6旧曲淒清、斂愁黛・与誰聴。
7樽前故人如在、想念我・最関情。
8何須渭城、歌声未尽処、先涙零。

1馬に乗る時に、人にささえられた、酔いが残っていて、暁の風に吹かれてもまだ醒めなくて。
2川の淵に映る屋根とひさし、柳のなかにふっと渡し場のあずまやが見える。
3あの時、壊れた壁にかつて文字を書いた、いま蜘蛛の糸がはり、淡い墨あとに苔がかぶって青い。
4思い出す、ふらふらとしているうちに歳月は流れるように去った、しばらく歩き回っていると悲しみがこみ上げて、ため息が出る。

5行って、また行って、道を尋ねるのもものうい、江陵での出来事を、いったいいつ再び楊瓊に問うのか。
6あの時の曲は寂しげで、いま愁いに眉をひそめて誰と一緒に聴けばいいのか。
7一緒に酒を飲んだ友人がいたら、私を想ってとくに懐かしんでくれるだろうに。
8渭城曲を使わなくても、歌声が終わらないうちに、まず涙がこぼれる。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
5楊瓊:唐圭璋の注に「陳(元龍)が『片玉集』に注して「楊瓊の事は未詳」というが、白居易の詩に「就中猶有楊瓊在、堪上東山伴謝公(中ん就く猶お楊瓊の在る有りて、東山に上りて謝公に伴するに堪えん)」とある」という。 8渭城:王維「渭城曲」に「勧君更尽一杯酒、西出陽関無故人(君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒、西のかた陽関を出づれば故人無からん)」の句がある。

1馬に()る、人が(ささ)える、酔いが残っていて、暁の風に吹かれても()だ醒めない。

水曲(きし)に映る翠瓦(やね)朱檐(ひさし)垂楊(やなぎ)(なか)(ふっ)津亭(わたしばのあずまや)が見える。

当時(あのとき)(こわ)れた壁に(かつ)()いた、(くも)の糸が()り、淡い墨に苔が(かぶ)って青い。

4念う、去来(ふらふら)して歳月は流れる(よう)(しばら)く徘徊すると愁思(かなしみ)が盈みあげ、嘆息(ためいき)する。

 

()()きて、路程(みち)を尋ねるのも(ものう)い、江陵での旧事(できごと)を、何曾(いったいいつ)()た楊瓊に()うのか。

(あのとき)の曲は淒清(さびし)げで、愁いに(まゆ)(ひそ)めて誰と(とも)に聴けばいいのか。

樽前(さけ)故人(とも)()()たら、(わたし)想念(おもっ)(とりわ)関情(なつかし)むだろう。

8渭城を何須(もちいな)くても、歌声が未尽(おわらな)(うち)に、()ず涙が(こぼ)れる。


qǐ liáo yuan

1 shàng mǎ rén fú cán zuì,xiǎo fēng chuī wèi xǐng.
2 yìng shuǐ qū、cuì wǎ zhū yán,chuí yáng lǐ、zhà jiàn jīn tíng.
3 dāng shí céng tí bài bì,zhū mì zhào、dàn mò tái yūn qīng.
4 niàn qù lái、suì yuè rú liú,pái huái jiǔ、tàn xī chou sī yíng.

5 qù qu juàn xún lù chéng,jiāng líng jiù shì,hé céng zài wèn yáng qióng.
6 jiù qǔ qī qīng,liǎn chóu dài、yǔ shuí tīng.
7 zūn qián gù rén rú zài,xiǎng niàn wǒ、zuì guān qíng.
8 hé xū wèi chéng,gē shēng wèi jìn chù,xiān lèi líng.

0 件のコメント:

コメントを投稿