2022年8月25日木曜日

102夜飛鵲(周邦彦)

夜飛鵲  周邦彦

1河橋送人処、良夜何其。
2斜月遠墜余輝。
3銅盤燭涙已流尽、霏霏涼露沾衣。
4相将散離会、探風前津鼓、樹杪参旗。
5花驄会意、縦揚鞭・亦自行遅。

6迢遞路回清野、人語漸無聞、空帯愁帰。
7何意重経前地、遺鈿不見、斜径都迷。
8兔葵燕麦、向残陽、影与人斉。
9但徘徊班草、欷歔酹酒、極望天西。

1河橋で人を見送るところ、すばらしい夜はいまどれほどか。
2斜めに月は遠く名残りの光を落としている。
3銅盤の蠟燭は涙をすでに流し尽くして、さめざめと冷たい露が衣を濡らす。
4いましも別れの宴会は終わろうとして、風に乗って聞こえてくる渡し場の太鼓の音、梢のさきにかかる「参」「旗」の星座を探す。
5馬の花芦毛は主人の思いを悟って、鞭をくれても歩みが遅い。

6遠い帰り道の野に、人の声はしだいに聞こえなくなり、むなしく愁いを帯びて帰る。
7なぜ再びあの場所を通っても、あの人が残したかんざしは見つからないのか、斜めに続く小径は、どこも迷うばかりで。
8ウサギアオイやカラスムギが、夕陽に向かって、影を人と並べる。
9ただ、むかし語り合った辺りをウロウロし、溜息をつきながら酒を注ぎ、西の空を遠く眺めるばかり。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1良夜何其:すばらしい夜はすでにどのくらい過ぎたのだろう。『詩経』小雅「庭燎」に「夜如何其、夜未央。(夜は如何、夜は未だ央きず)」とある。「其」は語尾助詞で、「如」と同義。蘇武の作と伝えられる詩に「征夫懐遠路、起視夜何其(征夫 遠路を懷い、起って夜の何其を視る)」とある。 4相将:まさに~しようとする。当時の口語。 津鼓:時刻を告げる渡し場の太鼓。 杪:こずえ。 参旗:「参」「旗」ともに星の名。 7遺鈿:地に堕ちた花の形の首飾り。『旧唐書』「明皇貴妃楊氏伝」に「十月の毎に、帝 華清宮へ幸し、五宅の車騎皆な従い、鈿を遺し舄を墜とし、瑟瑟の璣琲、道に狼藉し、香り数十里に聞こゆ」とある。 8「兔葵」三句:劉禹錫「再遊玄都観」詩に「人人皆な言う、道士の仙桃を手植する有りて、満観……重ねて玄都観に遊び、蕩然として復た一樹も無し、唯だ兔葵燕麦の春風に動搖するのみ」とある。最後の七字は「向斜陽・欲与人斉」に作るテキストもある。 9班草:草を敷いて座る。『後漢書』「逸民伝」に、陳留父老が「道に友人に逢い、共に草を班いて言う」とあり、後に友人が座って話すことを「班草」「班荊」という。 欷歔:嘆息する。 酹酒:酒を地面に注いで、供養する。古代、宴会でしばしば行われた儀式。

1河橋の送人(みおく)る処、(すばら)しい夜は何其(どれほど)に。

2斜めに月は遠く余輝(なごりのひかり)()として。

3銅盤の(ろうそく)の涙は已に流し尽し、霏霏(さめざめ)と涼たい露が衣を()らす。

相将(いまし)(わか)れの会は(おわ)ろうとして、風の(さき)(わたしば)(あいず)樹杪(こずえ)「参」「旗」(ほし)を探す。

(はなあしげ)(おもい)(さと)り、(たと)え鞭を揚げても(やは)自行(あゆみ)が遅い。

 

迢遞(とお)路回(かえりみち)清野()、人の(こえ)(しだい)無聞(きこえな)い、空しく愁いを帯びて帰る。

何意(なぜ)(ふたた)前地(あのばしょ)(とお)っても、(のこ)された(かんざし)不見(みつからな)いのか、斜めに(こみち)(どこ)も迷うばかり。

兔葵(ウサギアオイ)燕麦(カラスムギ)が、残陽(ゆうひ)に向って影を人()(なら)べる。

()草班(おもいで)を徘徊し、欷歔(ためいき)して酒を(そそ)、天西(とお)(なが)める。


yè fēi què

1 hé qiáo song rén chù,liáng yè hé qí.
2 xié yuè yuǎn zhuì yú huī.
3 tóng pán zhú lèi yǐ liú jìn,fēi fēi liáng lù zhān yī.
4 xiāng jiāng sàn lí huì,tàn fēng qián jīn gǔ,shù miǎo shēn qí.
5 huā cōng huì yì,zòng yáng biān、yì zì xíng chí.

6 tiáo dì lù huí qīng yě,rén yǔ jiàn wú wén,kōng dài chóu guī.
7 hé yì chóng jīng qián dì,yí diàn bú jiàn,xié jìng dōu mí.
8 tù kuí yàn mài,xiàng cán yáng,yǐng yǔ rén qí.
9 dàn pái huái bān cǎo,xī xū lèi jiǔ,jí wàng tiān xī.

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